生成AI活用に向けて―情報交換会を開催―

2025年5月からスタートした生成AI推進プロジェクト
これまでの成果物や社内での活用事例の共有、そして今後の展望など、さらなる活用拡大に向けて、外部の専門家も加えた情報交換会が開催されました。
社内外への発信を視野に

宮地 生成AIの活用を全社的に推進するために、広報も巻き込んで「当社がどのようなAI活用に取り組んでいるのか」を知ってもらうことが重要と考えています。
現在、男性育休や完全週休2日制の導入など、働き方改革が進んでいますが、一方で「業務時間削減」の方法についてはまだ確立されていません。生成AIの活用はこうした課題を解決する有効な手段として期待しています。
また対外的には、リクルート活動を中心に「先進的な取り組みを行っている企業」というイメージ発信にもつなげたいと考えています。
———2026年度の生成AI活用方針
活用推進対象事業所にMicrosoft Copilotの有償版を付与する計画です。これまで個人単位で取り組んできたAI活用を、チーム単位での課題解決型運用へと発展させることが狙いで、チーム内で業務課題を拾いあげたり、プロンプトを作成したりしながら、業務の改善を期待しています。
これまで作成した「エージェント」※の紹介
※エージェント(Agent)とは「代理人」「仲介者」を意味し、
ここでは人の代わりに情報収集や文書作成などのタスクを自動で実行するAIソフトウェアのことを指します。
経理エージェント
友草 経費科目を自動返信するAIです。
例えば、「ETCを購入した場合、どの経費科目になるのか」といった質問に対し、AIが社内の経費ルールを参照して回答します。この仕組みではSharePoint上に保存された社内の経費基準表を参照するよう設定されており、一般的なインターネット情報ではなく、宮地電機の社内ルールに基づいた回答を返します。
さらに、
- 金額が10万円以上の場合は固定資産になる可能性がある
- 判断できない場合は人に確認する
といった注意点もあわせて提示されるよう設計しています。
これにより、経理部門に寄せられる問い合わせの削減や業務効率化を狙っています。

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作成するきっかけ
各事業所の方から経理処理についての問い合わせが来ることが多く、効率的に回答ができないかと考え作成しました。当初は問い合わせを受ける担当者の効率化ツールとして作成しましたが、将来的には各事業所の経理担当者が使用することを想定して作り変えました。
作成した内容
独自の経費科目のルールをナレッジとして、取引内容を入力すると該当する経費科目を回答してくれるAIです。社内の資料の中で回答が見つけられない場合には、一般的な情報で安易に判断しないように調整しました。
作成にあたり苦労したこと
最初は意図しない回答が返ってくることが少なからずありましたが、プロンプトを改良することでその頻度も減少しました。また、社内資料にない内容については一般的な情報で回答することがありました。これに対して、限られた資料の中で判断できない場合はAIがユーザーに質問を行い、それでも判断できない場合は経理担当室に直接回答するようにプロンプトを改良していきました。
今後の展望
将来的には各事業所の経理の方が使用できるようになればもっと効率的になると感じています。また、回答の精度を上げるためにAIが判断するナレッジを拡充していく必要があります。


就業規則エージェント

安東 宮地電機の就業規則だけを情報源として回答するよう設定されているAIです。例えば、「結婚することになりました。どんな手続きが必要ですか?」と質問すると、
- 必要な申請手続き
- 利用できる制度
- 該当する就業規則の条文
などを返します。回答には就業規則の該当箇所へのリンクも表示されるため、根拠を確認しながら利用できる点が特徴です。今後、規則が更新された場合でも、元データを更新することで最新情報が反映される仕組みにしています。
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作成するきっかけ
Copilotの機能の1つであるエージェントを使い、就業規則を読まなくても教えてくれるAIを作れないかと思い作成しました。
就業規則は内容が多く、どこに何が書かれているか把握しにくいものです。必要なときにファイルを開いて探し回らなくても、さっと答えてもらえるのはとても助かります。
最初は回答が正しいかどうか判断できなかったため、「どの規約の、どの箇所に基づいているか」といった根拠情報も合わせて出力されるよう、プロンプトを試行錯誤しました。
ただし、人間と同じようにAIも就業規則を別の視点で解釈してしまうことがあります。とはいえ、おおまかな筋は教えてくれるので次に起こすべきアクションは分かります。正解を答えてくれるのではなく、相談役として接するといいお付き合いができると思います。


議事録作成エージェント
藤田 社内のビジネス文書規定に沿った議事録を作成するエージェントです。
会議などで録音した音声データをAI等で文字起こしを行い、そのテキストをAIに入力すると、「会議名」「出席者」「議題」「決定事項」などを整理し、宮地電機のビジネス文書の書式に沿った議事録形式でまとめます。
最終確認は人が行う必要がありますが、ゼロから作る手間を大幅に削減でき、議事録作成の時間短縮に大きく貢献すると考えます。

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作成するきっかけ
議事録を作成する作業時間が多くかかっていることから、担当室長と課長より、AIを使って宮地電機の社内ビジネス文書の様式に沿って議事録を作成できないかと提案を受けて作成しました。
作成した内容
社内のビジネス文書規定に沿った議事録を作成するエージェントです。
出力フォーマットを指定することで、項番を(1. → (1) → ① → ア.)といった社内様式に自動で整形します。
当初作成したエージェントは、項番が(1. → (1) → ① → ア.)になっているのみでしたが、
そこから、数名の方にエージェントを使用していただき、「全ての文が左寄せで出力される」「階層表示のために手修正が必要」「文末に句点がない」など、さまざまなご指摘をいただきました。それらを改善していくことで、現在の議事録エージェントとなりました。
作成を通じて気づいたのは、最初から完璧を目指すのではなく、業務に合わせてプロンプトを少しずつ改善し続けることが大切だということです。
現在はテキストボックスで出力した内容を、レイアウト設定済みのWordに貼り付けて議事録を作成しています。次の改善目標として、レイアウトも含めたWord形式での直接出力に向けて取り組んでいます。


営業の効率化―出荷証明書作成―

石川 営業分野での活用例として、出荷証明書作成業務の効率化を狙ったエージェントを作成しました。官公庁案件や大型案件では、完成後にメーカーへ出荷証明書の提出を依頼する必要がありますが、そのためのデータ整理には多くの時間がかかっています。
そこで、
- 基幹システムから売上データを抽出
- Excelに取り込み
- Copilotへプロンプトを入力
という手順で「必要メーカーの抽出」「商品明細の整理」「同一明細の統合」「メーカー別シート作成」などを自動化します。従来2~3時間かかっていた作業を大幅に短縮できる可能性があります。
その他、AIとOCR技術を組み合わせたタイムカード・勤怠処理への応用も検討しています。
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作成するきっかけ
工期中の仕様変更で、発注した商材が実際には現場で使用されないケースも多いです。完成図や出荷証明書は、仕様変更を加味した明細で作成する必要があり、最終明細の取り纏めには一苦労します。明細漏れが無く、より作業工程を短縮できる仕組みをつくれないかと思案して今回の作成に至りました。

今後の社内展開について
宮地 今回の出荷証明書作成のように、エクセルやワードなどのMicrosoft製品に付加されたCopilotは有償版のみでの活用になりますが、就業規則や議事録作成のエージェント等は、2026年7月頃から全員が使えるようになります。2026年度も引き続き、このようなエージェントを一つでも多く作って、業務の効率化を図ります。
進め方としては、推進メンバーから「こういうことをしたい」という要望を抽出し、そして「作る担当」が形にする二段階の体制でエージェントを増やしてゆきます。ぜひご活用ください。
加えて、今後は本丸ともいえる図面から自動的にシンボル情報を読み取り、基幹システムへの取り込みを容易にする「建築図面特化型AI」の研究も本格的に進めます。これが実現すれば見積書作成のスピード向上や人的労力の削減が期待されます。むろん、特に若手の方など、図面を正確に読み取り、注意点などを見極める力も大切です。その両輪を忘れず取り組みを進めてゆきます。

編集後記
今回の情報交換会では、生成AIの活用が単なるツール導入ではなく、業務のあり方そのものを見直す可能性を持つ取り組みであることが共有されました。
業務効率化、働き方改革、採用広報など、多方面での効果が期待される生成AI。宮地電機では、こうした取り組みを通じて、より効率的で働きやすい環境づくりと、企業としての新しい価値創出を目指してゆきます。
